形見のフルート

優しい音楽 (双葉文庫 せ 8-1)

優しい音楽 (双葉文庫 せ 8-1)

死者の形見には、死者の記憶が宿っている。
そんな気がしてなりません。
小川洋子さんの「沈黙博物館」は、死者の形見を集めて、博物館を作る話でした。
また、コリン・ウィルソンの「賢者の石」は、過去の遺物から、その遺物が記憶している情景を見ることができる能力を身に着けた人の話でした。
昨日、読んだ、瀬尾まいこさんの「優しい音楽」では、彼女の家に招かれた彼が見たものは、自分にそっくりな兄の遺影と形見のフルートでした。
彼は、兄と似ているということに、ショックを受け悩みながらも、そのフルートに、亡き兄の思い出があると思い、フルートを懸命に練習して、父親の誕生日に、家族で合奏します。
それは、素晴らしい演奏会でした。
ところが・・・。

〜とても良いお話を読んだ
という読後感が残る心温まる小説でした。