小鳥たち(アナイス・ニン/著)

小鳥たち (新潮文庫)

小鳥たち (新潮文庫)

この本は、女性作家アナイス・ニンが、1940年から翌年にかけて、お金儲けを目的として、親友ヘンリー・ミラーのすすめで、一人の老人コレクターの楽しみのために匿名で書いたエロチックな小説(エロティカ)を、13編集めています。
当時、ニンのまわりには、貧しい芸術家志望者たちが大ぜい集まっていて、老人の払ってくれる巨額の報酬は、それらの友人をうるおすのに大いに役立ったというこうとです。
死を間近に控えて、著者は、当時は、男の独壇場であったこの分野に、情事というものを、女の立場から考察して、女も挑んでみようということで、自分の正式の作品として認め、没後まもなく公刊されました。
詩人の矢川澄子さんの、淡々とした物語風の訳文が、いかにも好事家好みという作品の雰囲気を、文学的に仕上げています。