死神とのインタヴュー(ノサック)

短篇集 死神とのインタヴュー (岩波文庫)

短篇集 死神とのインタヴュー (岩波文庫)

戦争で徹底的に破壊されたハンブルクの町と人々をレポートする「滅亡」。
廃墟と化した戦後の町で、現代の死神が作家の“私”に語ったのは…、ユニークな設定の表題作。
トロイヤ戦争と現代の戦争を重ね合わせた「カサンドラ」。
ほか、第2次大戦下の言語に絶する体験を、作者は寓話・神話・ SF・ドキュメントなど様々な文学的手法をかり、11篇の物語群として作品化した。
戦後西ドイツに興った新しい文学の旗手ノサック(Hans Erich Nossack)の出世作

以前、「クモ」という極短編小説が、本家HPで、紹介されました。
http://akira-chin.com/search2.php?res_id=5387
それ以来、ノサックは気になる作家ではあったのですが、今回、初めて短編集を読み終えました。
以前の記事で、ノサックの作品は、「廃墟の文学」とか「大人のメルヘンとも言える」とか紹介されていましたが、この本は、ノッサクの出世作と言うことで、ノッサクの文学の原点があるように思います。

ところで、「死神とのインタヴュー」という表題作では、死神が、人間と同じように、会社を経営していたり、家には、母親や妹が同居して生活しているあたりが、思っていたより平易な文章で綴られていて、「大人のメルヘン」のような可笑しさがありました。
とはいえ、戦災をやっと生き延びた少女が、車に引かれて死んでしまうあたり、死神の冷酷さが、しっかり書かれています。
戦争の廃墟であるがゆえに、そこに直面した人間は、その本来の姿が現れる・・・というようなことを、作者は、言いたかったのでしょうか?。

【TENGUさん】
今回の文庫本は訳者もいいし、作品もやや初期のものですので、スムーズに読める出来映えではないでしょうか。とにかく、戦後文学の鬼才です。

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とのコメントも、いただいています。