泉鏡花「天守物語」

夜叉ヶ池・天守物語 (岩波文庫)

夜叉ヶ池・天守物語 (岩波文庫)

舞台は、播州姫路、白鷺城の第五重の天守
天守夫人「冨姫」は、昔、舌を噛んで自害した受難の人妻の幽霊。
その怨みによって獅子頭とともに、洪水を起こしたこともあるが、今は、妖怪となって、この天守に住む。
物語は、妖怪たちが、天守から、釣りの竿を垂らし、白露をエサに、秋草を釣るところから始まる。
やがて、妹の「亀姫」が遊びに来るが、土産は、城主の血を分けた兄弟の首だった。
下界(人間界)から、城主に、命令されて、天守に上って来た「図書之助」は、冨姫と恋に落ちる。
不条理な罪に問われた「図書之助」は、再度、天守にのぼり、獅子頭の陰に匿われるが、追手に、その獅子頭の目を討たれ、天守界の者は、全員盲目となってしまう。
一旦は追い払った追手が、再度、天守に攻め上ってきて、もはやこれまでと思われたとき、・・・・。

近年新たな脚光をあびる鏡花(1873‐1939)の傑作戯曲です。