泉鏡花「天守物語」
- 作者: 泉鏡花
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1984/04/16
- メディア: 文庫
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天守夫人「冨姫」は、昔、舌を噛んで自害した受難の人妻の幽霊。
その怨みによって獅子頭とともに、洪水を起こしたこともあるが、今は、妖怪となって、この天守に住む。
物語は、妖怪たちが、天守から、釣りの竿を垂らし、白露をエサに、秋草を釣るところから始まる。
やがて、妹の「亀姫」が遊びに来るが、土産は、城主の血を分けた兄弟の首だった。
下界(人間界)から、城主に、命令されて、天守に上って来た「図書之助」は、冨姫と恋に落ちる。
不条理な罪に問われた「図書之助」は、再度、天守にのぼり、獅子頭の陰に匿われるが、追手に、その獅子頭の目を討たれ、天守界の者は、全員盲目となってしまう。
一旦は追い払った追手が、再度、天守に攻め上ってきて、もはやこれまでと思われたとき、・・・・。
近年新たな脚光をあびる鏡花(1873‐1939)の傑作戯曲です。